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STOP!The 院内感染

各病棟リンク・ナースの教育・育成がICTを円滑に運用する重要ポイント

 中小病院の事例を2施設紹介したが、次に地域の中核的な社会医療法人立の高度急性期病院・S病院(477床)の事例を紹介する。S病院は3年前から感染対策室を設置したが、それ以前からも院内感染対策委員会を月に1回開催し、ICTに近い活動は行ってきた。昨年の3月に同院の中堅看護師(看護科長)が、日本看護協会の感染管理認定看護師研修を修了したことから、感染対策室の管理責任者に就任。これまで不在だったICNの専従者が決定したことにより、ICTが本格的に稼働し昨年4月に加算1の届出を行った。
 病棟ラウンドは毎週1回、どの病棟を巡回するのかに関しては、計画的に毎回、テーマを設定して実施しているという。S病院の在る地域では大規模な大学附属病院が存在するため、大学病院が中心となって地域医療機関の調整が行われ、幾つかの地区医師会がネットワークを組み、地域連携を進めていくことになった。大学病院が核となったことで、地域保健医療計画の二次医療圏よりも少し広い圏域をカバーするネットワーク体制が、構築されることになりそうだ。
 同院はDPC適用病院だが、収入面に関して感染防止対策に絞りDPCの素点金額×係数でシミュレーションを行ったところ、出来高算定部分も含めて、加算1連携加算の合計で月額約500万円弱の増収となった。2010年4月段階の感染対策防止加算算定でシミュレーションを行った場合は、月額100万円に届かなかったので、やはり今回の改定のプラスは大きかったと思われる。500床前後の高度急性期病院の場合は勿論、新規入院患者数によって差は出るが、加算1連携加算の届出により、月額500万円前後の増収になる施設が多いようだ。
 S病院のキーパーソンとなる専従ICNによると、実務面の今後の課題としては部署毎に配置される感染管理のリンク・ナースを、いかに育成していくかが要諦という。大病院の場合は診療科毎に感染対策の対応方法が異なるケースもあるので、全体研修だけでなく診療科毎の部門別研修を教育システムの中に織りこんでいくことが必要と指摘するのだ。
 更に同院では全体研修では補えない技術・知識を学んでもらうためには、各病棟のリンク・ナースが主体的に独自の教育を企画・実践できるようにサポートしていく構えだ。
 ICTラウンドにおいては、ICDやICNが各病棟に配置されたリンク・ナースと連携して各部門を点検し、注意を要する患者の状態把握や各病棟の清潔さ、安全性のチェック等、感染予防の視点からの指摘や改善指導を徹底して行うことが求められる。その点でリンク・ナースの教育・育成・指導はICTを上手く稼働させるために、どの病院にとっても重要なカギとなることは間違いない。
 今回は加算1及び同地域連携加算届出病院を中心に最近の動きを紹介したが、加算2届出病院に関しては、経営的なメリットよりも地域における病院間の連携強化のきっかけ作りを目的に、算定を目指す中小民間病院が多いことも指摘しておきたい。

(表)新しい感染防止対策の評価
  ① 感染防止対策加算1(新設)    400点(入院初日)
  ② 感染防止対策加算2(新設)    100点(入院初日)
  ③ 感染防止対策地域連携加算(新設) 100点(入院初日)

 ①は大規模病院が対象で、②は一般300床未満。②が①と異なるのは、感染防止対策チームにおける医師または看護師の専従要件がなく(専任で可)、研修要件が不要なこと。 ③は同加算1を算定している病院同士の連携を評価。施設基準の詳細に関しては、厚生労働省のホームページをご参照下さい。

掲載している情報は、取材時もしくは掲載時のものです。

【掲載】2013年04月19日