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精神科クリニカルパスを広めるための体制作り

2)経過観察という方針

 治療・ケアの予定を立てるのが難しく、"経過を見てから考える"しかない状況が医療現場では日常的に起こります。しかし、明確な目標設定を行わずに待ちの姿勢を続けることが、長期在院者の増大を招いた側面は否めません。経営的な観点から入院期間3ヶ月というプレッシャーがかかる包括病棟以外は、定期的に治療・ケアの評価、方針の見直しをすることが難しいことも多く、何ヶ月、時には数年にもわたり"経過観察"が方針となる事例も未だに珍しくはないのです。
  また、"精神科は難しい"という隠れ蓑が、患者・家族への治療・ケアの説明を不十分なままにしていましたし、患者・家族が変化を望んでいないとき、これはかえって好都合なことだったかもしれません。
  パスを適用することについて患者・家族と話し合うためには、スタッフの考えを明確に示すだけでなく、お互いの責任を確認し、予定した内容が計画通り行なわれているかどうか管理しなければならなくなります。スケジュールを管理するということが、医療の質保証につながるとは理解されず、単に、煩わしいこと、業務が忙しくなっただけ、ととらえられてしまい、パスが嫌われてしまうことがあります。

3)職人気質と技の伝承

 精神科においては職種に関係なく臨床経験が尊ばれます。難しい状況を切り抜け「さすが○○さん」と誉められることは、精神科スタッフのプライドをくすぐるものです。確かに臨床経験によって技術は磨かれるものですが、問題はそれが"見て盗む"ものであり、"時間をかけて身についていく"と考えられがちだったことにあります。
  精神科の技は言葉で表すのは難しい部分が多く、技の伝承は学ぶ側の努力にあまりにも依存してきました。パスが新人教育に役立ち、初心者の提供する技でも一定水準の質が保証できるようになるというメリットを説明しても、パスの必要性を理解してもらいにくいのは、このような過去が関係しているかもしれません。パスを使うと新人が学ぶ努力を怠り、成長しなくなるのではないかと心配する人もいます。

掲載している情報は、取材時もしくは掲載時のものです。

【掲載】2004年11月05日