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精神科薬物療法認定薬剤師・精神科専門薬剤師を目指す

③精神疾患や薬物療法に関する啓発活動

 精神科患者ばかりでなく、一般の方々に、精神疾患を理解していただくための啓発活動も非常に重要だと考えている。年間3万人の自殺者の中には、精神疾患を持ちながら精神科医療を受けずいた方も多いと言われている。これに対して、うつ病に対する啓発活動を通じて、うつ病を理解し、「気分が落ち込んだとき、精神科の医療機関に受診する」という意識を高めることに成功している地域もある(文献3)。
 また、統合失調症においても、発症前に介入することで、発症率を低下させるという研究や、未治療期間(Duration of Untreated Psychosis)の短さとその後の機能予後との間に相関があるとされる研究がある(文献4)。
 一般の方々に、精神疾患を理解していただくことは、精神科に受診する道を開き、早期発見、早期治療に向かい、その結果、良好な予後をもたらす。それは、今後の精神科医療において重要なポイントであり、そのような場面においても、精神科専門薬剤師の力を発揮できると考える。

④コンサルテーションリエゾン精神薬学

 最近、サイコオンコロジーや緩和医療が実践され、がん患者の精神的ケアが行われるようになってきた。精神科病院においては、一般科の病院から、身体疾患を持った患者の精神疾患の治療を依頼されることも増えてきた。また、一般科の薬剤師が、身体疾患を持った患者の精神疾患に関して、何とかケアしたいという意見を多く耳にする。精神科のある病院であれば、精神科医のサポートを受けられるが、ほとんどの病院では、精神科医がいないのが現実である。そのような状況下で、患者の精神的ケアを実現するために、精神科専門薬剤師は、一般科の薬剤師と協力して、研究会などを通じて、精神疾患や向精神薬について情報交換し、一般科の薬剤師が現場で、よりよい方向性を示すことができるように協力したいと考えている。

最後に

 今後、精神科薬物療法認定薬剤師や精神科専門薬剤師の実績に、注目が集まることと思う。しかし、今まで同様、「患者のために最適な薬物療法を提供する」という基本的なスタンスを踏まえ、「精神科薬物療法が、患者の人生を大きく左右する」要素の一つであることを胸に刻んで業務に向かいたい。その上で、業務の実績を結果として報告したいと考える。

引用文献

  1. 馬場寛子,石郷岡 純. “Milnacipran投与中に血圧上昇を生じた2例.” 臨床精神薬理 10, 第 2 [2007]: 441-446.
  2. 向後千春,冨永敦子. 統計学がわかる. 技術評論社, 2007年.
  3. 大塚耕太郎,酒井明夫. “自殺予防における介入の意義.” 臨床精神薬理 7, 第 7 [2004]: 1111-1117.
  4. 水野 雅文. “精神疾患の早期発見と早期治療.” 精神神経学雑誌 110, 第 6 [2008]: 501.