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2018年診療報酬改定で示された調剤薬局の将来像〜地域包括ケア時代の目指すべき薬局の方向性とは? 


医療ジャーナリスト:冨井 淑夫

調剤薬局が膨張する医療費削減のターゲットに

図表1 平成30年度診療報酬改定の概要

出典:厚生労働省診療報酬改定説明会「平成30年度診療報酬改定の概要(調剤)」(平成30年3月5日開催)を基に作成
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000197985.pdf

 2018年4月の調剤報酬改定は、技術料等の本体部分に関して+0.19%という微々たるもので薬価は-1.65%のマイナス。薬価の内訳は実勢価格改定が-1.36%、薬価制度の抜本改革が-0.29%、材料価格は-0.09%の厳しい内容で、調剤薬局にとっては実質マイナス改定。本稿ではスペース上、調剤報酬改定項目の全てを総花的に紹介することが出来ないので、主要な目玉と言える改定項目や改正ポイントに限定し紹介し、そこから国の目指す調剤薬局の将来像を探っていきたい。さて、当該改定内容に入る前に、遡る2017年10月25日に財務省は半年足らず後に実施される診療報酬・介護報酬同時改定の内容を意識した「社会保障について」と題する報告書を公表した。そこには、今後の調剤報酬政策を占う意味で、かなり核心をついた内容が織りこまれていた。

 その中で「2016年改定での調剤報酬の適正化は不十分。大型門前薬局に係る調剤基本料の対象範囲を拡大し、(中略)規模に応じた収益性や処方せん集中率の差異を踏まえた段階的な報酬設定も考えられる」との記述があるが、同調剤報酬改定の内容を見ても、ほぼ財務省の“思惑”通りに事態の進んでいることが分かる。(内容については後述)

 この他、「院外処方の場合は院内処方に比べて3倍超の技術料が算定される」、「調剤基本料・調剤料について薬局のどのような機能を評価して、院内処方と比べたコスト差が生じているのか明らかでない」等の指摘がある。要するに財務省の見方は、処方料を明らかに無駄なコストとして捉えているのだ。

 一方で、「調剤基本料・調剤料については、地域で“かかりつけ”機能を担っている薬局は適切に評価しつつ、当該機能を果たしていない薬局の報酬水準は適正化させていくべき」との記述もある。財務省の見方では、「当該機能を果たしていない」とは「門前薬局・マンツーマン薬局等」を指し、「適正化」とは「減額」と同義だ。どうやら、財務省は調剤薬局、その中でも大手調剤薬局チェーンに対し、膨張する社会保障費を削減するターゲットとして見据えていると推察される。

 厚生労働省と財務省は医療・介護の制度改革を巡り、長年に亘り“綱引き”を続けて来た経緯があるが、近年、国家財政が年々、厳しくなる中で、財務省の権限に加え医療提供者側への圧力が強まって来たことを実感させられる内容だ。そうした、財務省の視点が色濃く反映された調剤報酬改定の内容を検証していきたい。

掲載している情報は、取材時もしくは掲載時のものです。

【掲載】2019年05月17日