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[インタビュー]病医院職員へのコミュニケーション教育

研修の効果はモチベーションによって左右  管理職にも求められる「対話」の感性

─医療機関の場合はコミュニケーション教育を行っても、職員の参加意識に乏しいという声がよく聞かれますね。

  病院では職員の自主性を重んじて、自由参加型の研修が多いのですが、院長や理事長等、トップからの明確な命令・指示系統がないと、真剣さやまとまりに欠けることが多かったと思います。トップが率先して参加する姿勢を見せれば、医師や看護師等の専門職も目の色は変わります。私はこれまで数多くの医療機関で研修の講師を務めさせて頂きましたが、院長や看護師長、事務長らが最前列に座って受講されている施設は、職員全体の士気も高く優秀な職員が多いと感じています。また末端職員しか参加しないようでは、接遇の意識の低さを感じると同時に惜しい気もします。

─要するにトップのモチベーションによって、教育の効果が出たり、出なかったりすることもあるということですね。

  一般企業は業務の一貫として研修への参加が義務付けられていますので、参加した社員のパフォーマンスを問われますから、皆真剣ですね。教育で末端社員の意識改革に効果が表れれば、中間管理職も変わっていかざるを得ないし、中間管理職研修の需要も出てきます。ただ医療施設の場合は現状、こうしたボトムアップは難しいことが多いので、院長らのトップダウンにより進めていかざるを得ないというジレンマはあります。

─小規模診療所の教育・研修は、どのような形で進めていけば良いのでしょうか。

  最近、新規開業する医院の職員研修に呼ばれる機会が多いのですが、大抵、パート職員も加えて5名から10名位の小グループの研修になります。オープン前ですし、院長や看護師も参加し、非常にモチベーションの高さを感じます。やはり新しい診療所ということで、何とか「全員で盛り上げて成功させたい」との思いが強いのでしょう。先入観なく新鮮な気持ちで参加されるので、私たちも期待感を持って研修を実施することが出来ます。
 小人数による「全員参加型」の研修は、職員がお互いに向き合って、表情や言葉や態度を示し、お互いが改善点を指摘しあうことで、コミュニケーション・スキルを磨くのに非常に効果があります。私たちも“楽しく参加出来る”研修を工夫できるので、非常にやり甲斐があります。パートの事務職であっても「ロールプレイングに参加するのは初めての経験で、非常に新鮮に感じました」と言った反応も多く聞きます。

─これまで医療機関は技術教育ばかりに注力してきましたが、経営環境が厳しくなり、コミュニケーションや接遇サービスの重要性を、改めて考えていくべきでしょうね。

  例えば月間の「スマイル・コンテスト」のような試みで、患者さんからの投票で好印象を与えた看護師や受付事務を表彰する等して、“誉める”場を作ることも大事です。上司からだけの個人への評価だけではなく、対応している患者さんからの評価がやる気を起させるのです。患者さんの評価と同時に、上司からの評価として言葉にして誉めることも大切です。私たちが管理職研修の中で常に強調することは、リーダーは勇気と愛情を持って“誉め”たり、“注意し”たり、”叱る“ことが大切だと伝えます。患者さんとのコミュニケーション能力も感性が必要だとお話ししましたが、管理職の方もリーダーとして誉めたり叱ったりするための感性が必要になりますね。是非、技術だけでなく人との対話の感性を養って頂きたいものです。


谷洋子先生
谷 洋子先生

[ 谷 洋子(たに・ようこ)]
SIQとは、(SOCIAL INTELLIGENCE QUALITY=社会における、適応力の質を高めることを目的とした企業)の略。同社の筆頭講師として活動し、サービス接遇研修、医療・介護接遇研修、ビジネスマナー・新入社員研修、コミュニケーション能力アップ研修等を得意分野とする。サービス接遇指導士として20年のキャリアからの、豊かな感性と包容力のある指導は、自身の経験を元に顧客や患者視点の話を交えてのもの。病院のみならず、理美容業界からホテル、美術館等のサービス・スタッフの意識改革から始まり、行動を変容させる「分りやすい研修」として定評がある。

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【掲載】2011年11月25日