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[インタビュー]病医院職員へのコミュニケーション教育

コミュニケーション・ギャップが医療現場でクレーマーを作り出す

─近年、クレーマーやモンスターペーシェントの出現が、病医院を悩ませています。勿論、患者側の一方的な思いこみによりトラブルが発生するケースも多いと思われますが、医療提供者側のコミュニケーションという点で、気をつけるべき点はありませんか?

  厳しい言い方かもしれませんが、若い世代の中で、人間性のあるコミュニケーション能力に乏しい人が目立つようになってきました。60歳を過ぎた団塊の世代は、消費力や権利意識も非常に高い人達です。日本の高度経済成長と共に人間的な成長を遂げてきた人達で、日本や諸外国でも良質のサービスを享受してきた体験を持つ人も少なくないでしょう。
 そうすると日本の病院で受診すると、「食事が不味い」、「対応が悪い」と言いたくなるのは当たり前です。それをどう受け取るかが重要で、時として両親に厳しく躾けられた経験のない若い看護師らとの間に、カルチャーギャップが生まれます。「あの患者は何かにつけうるさく言う」、「クレーマーだ!」と感じる。しかしそうした受け取り方が、逆に患者をクレーマー化させている要因にもなっていることに気づいていない。

─若い世代の医療従事者と患者との間に、コミュニケーション・ギャップが起こっているということですね。

  私はある病院で「クレーマーへの対応」をテーマに話をしたことがありますが、「実際にあなた方が患者から受けたクレームを挙げて下さい」と言うと、若い病院職員から出てきた内容が、クレームというよりもニーズなのですね。ニーズを少し大きな声で主張されると、それをクレームと受け取って萎縮してしまう。「食事が不味い」との主張を要望なのか、クレームと受け取るのか、職員次第なのです。「これは治療食ですから味が少し薄いかもしれませんが、退院されたら美味しいものをお腹いっぱい召し上がって下さい」という一言を付け加えるだけで、患者側の受け取り方はかなり違う筈です。何もしないまま、患者の言ったことを全てクレームとして反応する職員もいます。見方を変えると、医療者側がクレーマーを作っていると言えなくもないのです。
 こうしたズレを埋めていくのが接遇であり、接遇力を付けることで複雑な患者のニーズに応える力や、問題解決能力が同時に培われると思うのです。
 更に過激なモンスターペーシェントに対しては、病院の中で専門の係の設置や、弁護士に相談する等、主体的な対策を講じていくべきでしょう。

─そうしたことを踏まえると、接遇・応対サービスとは非常に奥が深い。単に表層的なサービスと捉えて対応を誤ると、取り返しのつかないトラブルを招く危険性があります。

  私は人的サービスに係わる仕事に長年従事してきましたが、今の社会は様々な位相で、若い世代の「質の低下」と、大人の「質の低下」が互いにぶつかり合って、色んな問題が発生しています。権利意識の肥大化が、間違った形で表面化してきたことを痛感します。

掲載している情報は、取材時もしくは掲載時のものです。

【掲載】2011年11月25日