医療制度・行政関連ニュース
「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」から、精神障害の労災認定の基準に関する報告書が公表されました。
精神障害・自殺事案について、現在の精神障害に対する労災認定の基準は、2011年に策定された認定基準により業務上外の判断が行われています。近年では、同制度に対する認知度の向上や、働き方の多様化の進行と職場環境の変貌といった社会情勢の変化などにより、精神障害の労災保険給付請求件数が年々増加し、2022年度では、2,683件となっています。このような近年の社会情勢の変化や労働者の心身の健康に対する関心の高まり等を踏まえ、精神障害事案の審査をより適切・迅速に行うため、認定基準全般について検討され、取りまとめられました。
◆報告書のポイント
1.業務による心理的負荷評価表※の見直し
・具体的出来事「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(いわゆるカスタマーハラスメント)を追加
・具体的出来事「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」を追加
・心理的負荷の強度が「強」「中」「弱」となる具体例を拡充(パワーハラスメントの6類型すべての具体例の明記等)
※実際に発生した業務による出来事を、同表に示す「具体的出来事」に当てはめ負荷(ストレス)の強さを評価
2.精神障害の悪化の業務起因性が認められる範囲を見直し
・悪化前おおむね6か月以内に「特別な出来事」がない場合でも、「業務による強い心理的負荷」により悪化したときには、悪化した部分について業務起因性を認める
3.医学意見の収集方法を効率化
・専門医3名の合議により決定していた事案を1名の意見で決定できるよう変更
▽参考URL(厚生労働省)▽
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33933.html