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インタビュー「精神科医療機関の働き方改革〜労務管理における独自の課題と解決法とは?」


チーム医療の推進・強化こそが 精神科「働き方改革」の基本

――前出の同ビジョン検討会報告書の中には、タスク・シェアリング(業務の共同化)、タスク・シフティング(業務の移管)、ICT技術を導入した在宅テレワークの導入等、様々な新しい“働き方”への提案が行なわれていますが、これらの新機軸は精神科病院にも導入は出来るのでしょうか?

外山:タスク・シェアリングに関しては、同報告書で医師の「グループ診療の推進」が強調されていますが、精神科も今年から始まる第7次地域医療計画で、多様な精神疾患毎の役割分担・連携を進める方向性が打ち出されています。その視点から、一医療機関の自己完結ではなく、各医療圏における精神科系医療機関同士の「横のグループ診療」推進は、当然、避けられない課題だと思います。医療機能が地域で更に細分化されていくと、地域医療においても精神科診療機能毎の“すみ分け”と協力が必要になります。また、ICT技術による在宅テレワークは、精神科領域でも積極的に導入していくべきと考えます。

――タスク・シフティングではPA(フィジッシャン・アシスタント)の創設が謳われており、厚生労働省でも資格化を目指し検討しているようです。

外山:ただ、同報告書では「簡単な診断や処方、外科手術の助手、術後管理等が出来るようにすることを選択肢として検討」と書かれています。諸外国で導入されているとは言え、医師以外でここまで踏み込むとなると看護師等、臨床の専門的教育を受けた人でないと難しいのではないでしょうか。例えば、救命救急士の資格が出来た背景や、介護職の喀痰吸引が認められた経緯等を思い出すと、医師の職域にも関わる問題であるだけに、一朝一夕にはいかないのではないでしょうか?

――そもそも、“簡単な診断や処方”とは一体、何を指すのかが、よく分りませんね。「簡単な」診断・処方等、本当にあるのか?真面目に地域医療を担っている多くのドクターには、失礼な表現だと思います。最後に、結論的な“まとめ”をお願いします。

外山:日本の精神科医療は、これまで欧米の病院等に比べて入院期間の長期化が課題とされて来ましたが、欧米においては多職種チームによる患者支援が、入院期間短縮に大きく貢献したとされています。精神科病院には医師・看護師の他にも精神保健福祉士、臨床心理士、作業療法士、新たに資格化される公認心理師等、多職種が在籍しています。これら専門職同士の有機的な連携を強化していくことこそが、従来の精神科病院の“働き方”を改革することに繋がると考えています。


外山 弘先生
外山 弘先生

外山 弘(とやま ひろし)
〔プロフィール〕
大阪大学法学部卒業。平成4年、司法試験合格。平成5年、最高裁司法研修所。平成7年より弁護士登録。平成10年より医療過誤専門(医療機関側)法律事務所のパートナーを務め、平成16年より大阪で病院・企業法務に特化した外山法律事務所を開設。現在に至る。*平成19年から24年まで、大阪大学大学院高等司法研究科・非常勤講師を務める。
病院関連の講演活動は日本精神科病院協会(全国)、関西精神科懇話会、SSKセミナー等多数。共著書に『わかりやすい会社法の手引き』(新日本法規)。