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2014年度診療報酬改定で浮上した“主治医機能”評価と医療機関の対応策


松村 眞吾先生
(聞き手:医療ジャーナリスト:冨井 淑夫)

 2014年度診療報酬改定では“主治医機能”を評価する新機軸として、「地域包括支援診療料」(月1回・1503点)と、「地域包括診療加算」(1回につき20点)が登場した。何れも高血圧症、糖尿病、脂質異常、認知症の4疾病のうち2つ以上の疾患を有する患者が対象で、主治医機能を持った医師が「患者の同意を得た上で、継続的かつ全人的な医療を行う」ことで評価される。前者は200床以下の中小病院と診療所が対象だが、包括支払制で「常勤医師3名」という要件が、小規模診療所にとってハードルが高いと思われる。
 新たに出てきた“主治医機能”の評価は医療機関にどのようなインパクトがあり、患者の受診環境にどのような影響を与えるのか。診療所を中心とした小規模医療機関の経営に詳しい松村眞吾先生に話を聴いた。

高齢患者がメーンとなる地域包括診療料
中小民間病院の“主治医機能”を高評価

―― 診療報酬で“主治医機能”に関する2つの改定項目が登場しました。地域包括診療料は、包括性と言う点で08年に創設され、その後、廃止された後期高齢者診療料(月1回・600点)を思い出します。点数はあれよりも随分高く、要件も異なりますが、基本的な考え方はよく似ています。まず率直な感想からお話頂けますか?

松村:  後期高齢者診療料のように年齢(75歳以上)で区切らずに4つの疾患を前面に打ち出したこと、更に常勤医3名以上を条件にしたのが大きく異なる点ですが、地域包括診療料(以下同診療料)導入で厚生労働省が狙っているのは、明らかに高齢患者に対しての“主治医機能”の普及だと思います。1万5030円の医療費で本人3割だと4500円以上の自己負担となり、患者の負担増で受診抑制につながると批判する人もいます。ただ高齢者に限って言えば現状1割負担ですから、以前と比べて高負担感は少ない。若い世代でも複数の慢性疾患を抱えている患者はいますが、主たる対象は高齢患者であり、高齢者を除けば同診療料を選択する患者は少数派ではないでしょうか。
 私が着目したいのは、従来の“かかりつけ医”のイメージは診療所でしたが、同診療料の要件設定を見ると診療所は二の次で、厚生労働省は中小病院に“主治医”機能を担わせたいとのホンネが見え隠れします。24時間対応には常勤医が3名最低必要であり、24時間対応が不可能であれば、“主治医機能”は200床未満の病院に任せましょうとのメッセージです。要するに院長1名体制の診療所が総合医的な機能を果たしていくには、2025年問題で危惧される高齢化進展のスピードに、整備が追いつかないわけです。これまで“かかりつけ医”は地域の開業医が担ってきた印象が強いのですが、中小病院が同じ土俵に上がることになり、のんびり構えていられない状況になると思います。「200床未満の病院が、これまで開業医の担ってきた領域に攻めこんでくる!」との見方もできるでしょう。