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消費税増税と2014年診療報酬改定の重要ポイント
  〜精神科医療への影響を中心に医療機関の対応策を探る 

増税額の予測計算とコスト・リカバリーの実践

 2014年診療報酬改定の内容が明らかになった。今改定は診療報酬全体では+0.1%の引き上げ(+400億円)だが、消費税改定分(+5600億円・1.36%)を除くと、実質的には−1.26%のマイナス改定となり、医療機関には非常に厳しい結果となった。
 消費税増税分に関しては、主に初診・再診料、外来診療料、入院基本料等の基本診療料等に充当された(下記 図表1・2)。今年の4月からは17年ぶりに消費税が5%から8%に引き上げられ、(予定では)来年10月には10%と、従来にはないスピードで消費税率のアップが進められていくことになる。診療報酬に係る医療費は非課税が原則であり、価格に転嫁できないことから、ストレートに増税分がコストとしてはね返って来る。医療経営にとっては大きな経営リスクを抱えることは間違いない。
 精神科医療に係る診療報酬改定の内容を見る前に、消費税増税前に医療機関が備えておくべき対応策について、専門家の意見を交えながら考えてみたい。1月28日にNPO法人「公的病院を良くする会」が開催した新春医業経営セミナーで税理士の船本智睦氏は、「医療機関全体の消費税増税分を推計すると、診療報酬の約5600億円の財源配分だけではとても足りない。放置しておくと病院経営に大きな打撃を与えるため、消費税増税対策を契機に医療機関は①施設運営のあり方の見直し②施設運営の効率化の推進③内部統制の浸透――等により、自院の経営環境を“変える”大きなきっかけにして欲しい」と強調した。船本氏の試算によると200床の急性期病院を例に取り、消費税が5%の時の控除対象外消費税が7309万円だったのが、8%に上がると1億1700万円に増加し、10%の引き上げ時には1億4600万円に膨張する。そのためには経営改革が急務になると言うのだ。
 具体的に取り組むべきこととして船本氏は、次の幾つかの重要ポイントを挙げる。(1)増税の予測計算を行う――①消費税の増税及び損税の影響額を把握②医療施設(医療法人を含む)の計算構造を把握。(納付消費税額=課税売上に係る消費税額−課税仕入れ等に係る消費税額×課税売上割合)(2)医薬分業体制の見直し――①使用医薬品・医療材料費の使用品目、数量の現状把握A業者選定の見直し③規模の経済を活用するために病病連携を介して、共同購入等の対象品目拡大C使用効率の見直し(SPD導入の検討、病棟診療材料の使用方法の見直し、外来の院外処方の検討)等。(3)外注費・委託費の比率を下げる――①検体検査②滅菌消毒③患者給食④患者搬送⑤院内清掃⑥医療用ガス供給設備保守点検⑦寝具・病衣等の洗濯⑧院内医療機器保守点検⑨在宅酸素供給装置保守点検ほか。 (4)キャッシュフローの視点――①患者未収金の発生予防と迅速な回収体制の整備・推進⇒医事課、看護師、MSWとの連携②診療報酬請求における請求保留金額の縮小化③施設アメニティ料金の見直し(適正に価格転嫁、サービス提供のあり方見直し)⇒病衣、病室テレビ等の料金の見直し④保険外項目の見直し⇒治験収入、室料差額、セカンド・オピニオン診断料、予約診療等の選定療養費、診断書作成料、人間ドックコース料金等⑤共同購入、共同委託、連携購入等の規模の経済を活用した見直し等。
 損税減少のためには、以上のような幾つかの視点から、増税負担分のコスト・リカバリーを実行していくことが必要になる。

図表1

図表2