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公立病院改革ガイドラインと自治体病院のペレストロイカ

公立病院改革は5年以内が勝負の“待ったなし”

 三位一体の改革」による地方財政の悪化、市町村合併、都市偏在のマンパワー不足等により、地方に存立する自治体病院の経営は、厳しい環境下に置かれています。そうした中、総務省は2007年12月に「公立病院改革ガイドライン」を公表しましたが、そこでは公立病院改革の必要性を訴えると同時に、2008年度内に公立病院改革プランの策定が求められています。具体的には①経営の効率化再編・ネットワーク化経営形態の見直し――の3つの視点からなり、①経営効率化は3年、②再編・ネットワーク化、③経営形態の見直しは5年程度を標準とするというスケジュールが提示されたのです〔より詳しくは総務省ホームページ参照〕。公立病院改革は否応無しに「ここ5年以内」が勝負の、“待ったなし”の状況が作り出された訳です。
 ①経営の効率化は経営収支比率、職員給与費対医業収益比率、病床利用率等に関して数値目標を設定。病床利用率が過去3年連続して70%未満の病院は、病床数等を抜本的に見直す等のペナルティも示唆されています。
 自治体病院の存続に係るため、最も切実な③経営形態の見直しに関しては、地方公営企業法全部適用、地方独立行政法人化、指定管理者制度、民間譲渡、診療所への縮小や介護老人保健施設・高齢者住宅等への転換も含めて、幅広く見直しを行っていく方針です。
 ここで①と③とは、微妙に関連し合っていることが読み取れます。経営効率化の目標が達成出来なかった病院は診療所や介護施設への転換もあり得ますし、赤字病院は経営努力をしなければ民間事業体への“身売り”や、統廃合・廃院まで含めた措置もあり得ると総務省は主張しているのです。こうした「財政圧縮」を最優先した施策に対して、ある公的病院の院長は「3つの視点と言うが、全て財務省の視点でしかない。自治体病院は公共財であり、地域住民や病院職員の視点が入っていないとおかしい。全国自治体病院の置かれている地域事情や経営環境は千差万別であり、画一的な考え方ではなく、各々独自の処方せんが必要」と訴えています。実際に公的病院関係者の中からは、自治体病院の統廃合や廃院が進むことによって、地域医療の崩壊がさらに加速することを危惧する声も聞こえてきます。しかし全国で1000近い公立病院の7割超が赤字経営で推移する現在、経営改革は喫緊の課題であり、尋常ではない経営努力が必要なことは間違いありません。専門家の多くは、公立病院の経営健全化には高い人件費を民間並みにする等の、思い切った見直しが不可欠であることを指摘しています。