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「在宅療養支援診療所と病院のサテライト戦略」

病院・在宅療養支援診療所・特定施設が三位一体

 2006年度診療報酬改定で、厚生労働省は“在宅医療推進”の切り札として、新類型となる「在宅療養支援診療所」を創設しました。また、2008年度診療報酬改定では診療所がない地域では病院が在宅医療の担い手になっている現状を踏まえ、病院を中心とした半径4Km以内に診療所が存在しない病院を「在宅療養支援病院」と位置づけ、在宅療養支援診療所と同等に評価することになりました。24時間体制での往診・訪問看護等、施設基準を満たすためのハードルは高いものの、2007年7月時点での届出は10,033件となり、厚生労働省が見込んでいた10,000件超えています。加えて2006年7月1日から、在宅療養支援診療所が特定施設(特定施設入居者生活介護)入居者へ訪問診療を行った場合に、在宅時医学総合管理料(在医総管)が算定可能となり、加えて当該入居者が末期がん以外の患者であっても在医総管が算定出来ることになりました。これにより在宅療養支援診療所を核とした介護施設との連携に、大きな扉が開かれることになりましたが、病院・在宅療養支援診療所(在宅療養支援病院)・特定施設が三位一体となった“在宅医療”の経営戦略について言及してみたいと思います。
 2006年度診療報酬改定で、「在宅療養に関わる評価」として、「在宅療養支援診療所」の要件を満たした診療所に関しては、緊急時の往診や看取りの評価が引き上げられるなど、開業医を中心とした医療関係者から大きな注目を集めています。
 「在医総管」とは従来の寝たきり老人在宅総合診療料(在総診)が再編され、2006年度診療報酬改定で新設された点数です。2008年度診療報酬改定では、「在医総管」と同様の医学管理を特定施設入居者に行った場合に算定することが出来る「特定施設入居時等医学総合管理料」が新設され、特定施設の入居者が訪問診療を受けやすくなる環境が整備されました。「在医総管」と「特定施設入居時等医学総合管理料」は、1ヶ月に2回以上の訪問診療が算定要件になっており、在宅療養支援診療所(在宅療養支援病院)と、その他の診療所・200床未満の病院とでは点数が異なります。
 例えば、「在宅療養支援診療所(在宅療養支援病院)」だと、「在医総管」は処方箋を交付した場合は4200点。処方箋を交付しない場合は4500点、一部の重症患者を対象に1ヶ月に4回以上の訪問診療を実施した場合、重症者加算として1000点の別途加算が出来ます。「その他の診療所・200床以下の病院」の場合、処方箋を交付した場合は2200点、処方箋を交付しない場合は2500点、重症者加算は1000点と同じです。

「在医総管」と「特定施設入居時等医学総合管理料」説明

特定施設で安定した在宅患者の確保が可能に

  この規制緩和によって経営的に有利に働く経営主体は、①在宅療養支援診療所②特定施設(有料老人ホーム、ケアハウス等)③有料老人ホーム事業に参入する民間企業④特定施設やグループホームを運営する医療機関、あるいは特定施設やグループホームと連携する医療関係者〜等が挙げられます。
 例えば地方都市等によく見られる診療所がMS法人を作り、複数の特定施設を経営し、介護事業を行うケース等は、常に安定した在宅患者数の確保が可能となって、在宅療養支援診療所の経営を好転させることにつながってきます。
 ある地方都市で複数の特定施設を含む介護施設を運営している病院経営者は、「特定施設入居者に対する在医総管の算定が可能になったことは、私たちのように地域完結型医療・福祉ネットワークを構築しているグループにとっては朗報。これからの戦略として県内全域に有料老人ホームを開設し、サテライトとして在宅療養支援診療所を複数開設して、バックアップする体制を取りたい」と素早い動きを見せています。
 もちろん県によっては特定施設の開設に規制がかかっている地域も多いものの、今後在宅療養支援診療所が在宅患者の供給源として特定施設に注目し、特定施設と連携していこうとの動きや、自ら特定施設を経営し自己完結型ネットワークを作っていこうとする動きは活発化していくことになるでしょう。