Home > 経営管理講座 > 「病医院の広報活動事例集(1)病院における企画広報室の仕事」(PAGE 1)

「病医院の広報活動事例集(1)病院における企画広報室の仕事」

「プロの技術」よりも「若い感性」を重視

 現在はまだ少数派ですが、一部の民間の大病院では「企画広報室」等の位置づけで専門部署として専任者を置くケースも出ていますが、一般企業から「広告や広報のプロ」をスカウトするよりも、未経験者ではあっても事務部門の意欲ある若いスタッフを抜擢・育成していく方が、成功例が多いと思われます。「広告マンのプロの技術」よりも、自院のことをよく理解し、医療制度や地域の医療連携システムを十分に熟知したスタッフが、若い感性とフロンティア精神を発揮して、新しい部門を担っていくほうが、病院の個性や特色を生かした広報活動を展開しやすいと感じるのです。
 さて今回の第五次医療法改正における「広告規制緩和」云々とは関係なく、随分以前から「企画広報」を病院の重要な機能として捉えて、地域や患者に対して多面的な情報発信を行っている医療機関の事例を取材した中からご紹介します。

〔事例紹介〕:情報発信基地としての病院づくり

 岡山市の岡山旭東病院は、毎年、職員全員の意見を取り入れながら経営指針書を作成する等、病院理念を基本に“患者様に選ばれる理想の病院づくり”を目指し、全職員が一丸となって取り組む病院として知られています。
 同院に「企画広報室」が設置されたのは2001年。当初は専従スタッフ1名でスタートしましたが、現在は若い女性による2名体制により運営されています。厳密に言えば「企画課」の中の「企画広報室」という位置づけで、企画課の5名のスタッフのうち2名が企画広報室のスタッフとなります。同院の場合は「病院理念」に基づいた経営を謳っているため、病院内・外に対しての“理念の発信”が最も重要な仕事の一つとなる訳です。
 同院では病院各部署の代表者10名が参加する広報委員会を毎月1回開催し、広報活動の方向性を決定しますが、「企画広報室」は同委員会のコーディネーター役を果たしています。さらに普段から各部署のスタッフとコミュニケーションを図り、意見を吸い上げ、それらを参考にしてホームページや広報誌上で迅速に情報を発信する訳です。
 現場での実務的な仕事としては、ホームページ制作や院内広報誌の企画制作、企画課スタッフと連携しての毎週のように開催されているイベントの企画や運営等、その業務は多岐に亘っています。広報誌の取材・記事執筆・撮影等も「企画広報室」スタッフが自ら行っているのです。
 医療関係者等の見学者が急増している同院では、来訪者に病院のことを理解してもらうために「企画広報室」スタッフが中心となって、病院紹介ビデオを制作しましたが、このビデオはNPO法人日本HIS研究センターが毎年主催するBHI賞(病院の広報媒体の優秀作を審査・表彰)の部門外優秀賞に選ばれました。
 同院ではこうした広報ツールによる情報提供に加えて、「快適な人間味のある温かい医療と療養環境を備えた病院」を経営理念の一つに掲げ、癒しの環境整備にも力を入れています。
 医療に笑いとユーモアを取り入れ、ロビン・ウィリアムス主演の映画にもなった米国の医師、パッチ・アダムスの名前を冠した多目的ホールではコンサート、健康教室、園芸教室、年1回の病院祭と言うべき「ふれあいフェスティバル」等の、多様なイベントに活用され、地域住民のために開放されています。
 その他、病院1階の一角に、「患者様ライブラリー」を設け、様々なジャンルの書籍を取り揃え、2005年から貸し出しサービスを開始しました。またNPO法人地域交流センターが提唱する「情報コーナー 健康の駅」を設置。ここでは健康や医療情報の広報物が閲覧・入手出来る他、希望される方は他の医療機関のパンフレットや情報も提供されます。要するにこれらの施設は、全く地域住民・患者側に立って創られたスペースであり、「医療・健康の情報発信基地」としての、病院の役割を具現化したものと言えるでしょう。

●病院企画広報室の仕事(各病院によって異なるが一般的なケースとして)
  1. 病院企画広報委員会の開催
  2. 病院広報誌・パンフレット等の紙媒体の企画制作
  3. インターネットホームページ・メルマガ企画制作等のITによる情報発信機能
  4. 病院フェスタ・病院祭り、健康教室等の企画・開催
  5. 院紹介ビデオの制作
  6. 行政・地方公共団体等への外に向けてのPR活動
  7. 連携先診療所へのPR活動